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引き算勉強法

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資格試験や大学受験の勉強方法で、何かよいテクニックはありますか。
よく聞かれる質問ですが、覚えるべき範囲を確定したうえで、つぶしていく方法を紹介します。

過去問を読む
過去問の利用方法はよく言われています。
過去問は解答を見ながら読む。
勉強が進んでから「解く」のではなく、勉強を進めながら「読む」という利用方法です。
最終的には試験に合格するために勉強するのですから、ゴールから逆算して必要十分な勉強をするという意味では、有効な方法なのです。
覚えるべき範囲を把握するという意味で、過去問が入手できる試験では、過去問の解説を読みながら勉強するのもよい方法です。

色分けをする
司法試験の勉強方法としては昔から有効とされているものとして、テキストを読む際に、色分けをするというものがあります。
定義や判例、自説や反対説をそれぞれ決まった同じ色で塗り分けながら読む。
高校の世界史であれば、人名や王朝の名前のほかに、戦争が起きた背景や革命の影響などが、色塗りの対象になるでしょう。
こうすることで、漫然とテキストを読んで、わかった気になることを防ぎます。
色分けの効果は再読の時にも実感できます。
文章を入念に読み込まなくても、マーカー個所だけを目で追うだけで理解できる。
着色以外を除くと、レジュメが作成されているのと同じ状態になっているのです。
重要なのは、色塗りの範囲を最小範囲にすること。
文章よりもフレーズ、フレーズよりも単語レベルにするようにとどめてください。
助詞レベルでも一文字でも短くしてください。
意識を集中することで、漫然と読むことを防止できます。
着色部分だけを目で追えば済むためにも、本当に重要なポイントだけを抽出するべきです。

引き算勉強法というゲーム
テキストの色分けができた段階で、あとは覚えるだけです。
暗記を悪者にする論調もありますが、アンチテーゼでしかありません。
暗記なくして理解はなく、記憶と理解は車の両輪のように相互補完しています。
覚え方ですが、あとはゲーム感覚で進められます。
教科書を読みながら、黄色マーカー部分をつぶしていき、最終的には黄色マーカー部分をゼロにするというゲームです。
例えばすべての重要個所を黄色で塗ったとすると、黄色部分のうちで確実に覚えている箇所にピンクのマーカーを重ねて引きます。
重要なのは、確実に覚えているものだけに、ピンクのマーカーを重ねて引くのです。
うろ覚えや、自信のないものには引いてはいけません。
一度ピンクで重ね塗りをすると、元には戻せないので判断は慎重に。
二度と確認する機会はないくらいの気持ちで判断してください。
重ねてピンクを塗った個所は、オレンジになります。
教科書の中でまだ覚えていないものは黄色、覚えたものはオレンジになります。
これを重ねていき、2回目、3回目と繰り返すうちに、オレンジは増えて、黄色部分は減っていきます。
教科書を何回も読むべきであるとは言いますが、漫然と読んでも気持ちが続きません。
これは黄色部分をオレンジに変えるゲームです。
目標達成部分のオレンジと未達成部分の黄色がビジュアル化されているので、細切れの時間でもぱっと見開いたページをフラッシュカード式につぶすこともできます。
すべての黄色がオレンジになったのちに、さらに最後の確認として、オレンジマークを鉛筆でチェックし、鉛筆が引いていないオレンジだけを念のための確認事項として残す。
未達成部分が最初は黄色、次にオレンジで、ダブルチェックもできるのです。

引き算の効用
教科書のマーキングは誰でもやっていると思いますが、通常はまだ覚えていない部分に対して、色を重ねていきます。
でもこれではゲーム感覚は味わえません。
引き算の発想でマーキングするのはその逆で、覚えたものに対して色を重ねて、覚えていないものを目立たせる。
覚えるべきものを最初に特定し、時間をかけてつぶしていく。
覚えるべきものから覚えたものを引いていくのです。
課題が常に色でビジュアル化されている。
課題はどんどん引き算で少なくなっていく。
なんとなれば、課題が残っていない頁はテキストから破り捨てても結構です。
最初は300頁あった教科書がどんどん薄くなっていき、教科書がなくなるころには内容をすべて覚えたことになるのです。
破り捨てる作業自体も、達成感を得る動機づけになるでしょう。
教科書を破ることに抵抗感があれば、予備に1冊余計に購入しても結構です。
教科書を繰り返し読むのは退屈な作業ですが、文字通りの通読など無理ですし、集中力が持ちません。
そもそも覚えている箇所は繰り返す必要がありません。
引き算勉強法を進めるうちに結局、重要なところについては、何回も何回も教科書をスキミングで読んでいることになるのです。
自分にとって重要ではない、つまり理解している箇所は、繰り返しの対象になりませんから、無駄もありません。

最初のマーキングが重要
ゲーム感覚で進められる引き算勉強法ですが、最初に重要な部分を合理的にマーキングする準備作業が必要です。
全くの無理解の状況では、合理的なマーキングは難しいでしょう。
講義をきく、過去問を読む、などの理解する過程が一定程度は必要です。
そのうえで確実にインプットし、アウトプットできるレベルまで記憶するために、教科書を繰り返し通読することが推奨されます。
この苦痛な作業を、クイズやゲーム感覚で代替する。
そんな方法が、引き算の発想に基づいたテキストの色塗り、破り捨てなのです。
覚えるべき範囲を最初に確定してから、どんどん少なくしていく発想が重要です。
ぜひ一度、何かのテストで試してみてください。

POST DATE:2022.12.18
POSTED BY:弁護士・税理士 長谷川裕雅
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