PROFILE

つたえる、つなぐ、のこす。

大学を出て、朝日新聞の記者になったことから始まった。

修学旅行先の札幌で発生したホテル火災で、同室に宿泊中の女子高校生2名が死亡した。
死亡するまでの約2週間、ほぼ毎日、女子高生のうちの1人の家族を取材した。
修学旅行中に届いた手紙を見せてもらい、中学校の卒業アルバムをお借りし、日頃の話を聞く。

黒魔術遊びに興じた際の失火をほのめかす報道も出た。
神秘をまとった事件を追うために、テレビや週刊誌も多数押しかける。
小康状態を保っているにも拘らず、「ご愁傷様です」と声をかけた記者もいた。
憔悴し切った家族から、なおも話を聞くために、インターホンを押す。
玄関戸のすり硝子越しに、ベビーカーが見える。
女子高校生の姉には新生児がいた。
数日前までは幸せな家庭だったはずだ。

話を聞くうちに「取材対象からネタをとる」意識は消えていった。
記者としての功名心も全くない。
妹の容態を心配し食べ物が喉を通らない姉に、果物を差し入れる。
学生上がりでどういう言葉をかけて良いかも分からないが、とにかく勇気付けようと必死だった。

ICUに入っていた女の子が亡くなった。
いっしょに泣いた。
記者ではなく、もはや当事者になっていた。

後に同室のもう1人による放火・無理心中であったことが判明する。
亡くなった女の子は殺人事件の被害者だった。

被疑者死亡で書類送検となり、事件は終わった。
マスコミ各社の取材に応じない被害者の父親が、書類送検を受けて私にだけは話をしてくれた。
翌日の紙面では、朝日新聞だけがコメントを載せることができた。

―――――事件は終わった。
ひったくりや窃盗のベタ記事を書く毎日に戻った。
ベルトコンベアで流れてくる事件を、
千本ノックのように処理することに、疑問を感じ始めた。

女の子の家はどうなっているのだろう。
民事的にはどう決着されるのか。
いっしょになき、いっしょにいかり、いっしょにわらう。
関わった相手に対しては最初から最後まで、徹底的に付き合うべきではないか。

つたえただけじゃだめだ。
「つたえる」の先へ。
つたえたあともかかわり、最後まで責任を持つ。

つたえる、つなぐ、のこす。

つたえてひろめることの意義を考え、ジャーナリストになった。
弁護士に転身後は、依頼者の主張を裁判官につたえ、権利を実現してきた。
コンサルタントとして、ニーズをつたえることで会社同士をつないできた。
依頼者との接点は点から線へ、線から面へとひろがった。

つたえるつなぐで、結果や成果を将来にのこす。
依頼者の想いを、形としてのこす。

つたえてひろめる。
つないでひろめる。
ずっとのこす。

これからも、あの事件で考えたことを大切にしたい。
つたえる、つなぐ、のこす。

弁護士×ジャーナリスト×危機管理コンサルタント

早稲田大学 政経学部政治学科/朝日新聞記者/長島・大野・常松法律事務所/DLAPIPER法律事務所/北京事務所代表

趣  味アジア離島めぐり
資  格スキューバダイビング/一級小型船舶操縦士免許/特殊小型船舶操縦士免許
尊敬する人物ジョン・マッケンロー
好きな言葉ひとりでもやる、ひとりでもやめる。
得  意誰も考えつかない発想
苦  手100m走を二人三脚で走らされる集団行動
言  語英語・中国語